続く雨の音 後編

「さすがにここまで濡れてると、一人じゃ大変だからね。済んだら、何か淹れるよ」
「え…。いつもより変に優しくて、少し気持ち悪いです…」
「そこまで言うかい…。要らないなら作らないけど」
「…飲みますよ。疲れてるもん」

いつもならあたしに任せきりなのに。
ほんと、どうしたっていうんだろう。

「よし、済んだかな」
「あぁー、疲れたぁ~」
「フフフ」
「なんですか」
「何飲むんだい?」
「うーん。おまかせ!」
「うん。分かった」

いつものように、待ってて、とは言わない。
それは、もうお約束のようなもの。

「詩歩、出来たよ」
「はぁい」

ん?

「これ。」
「アイスティーだよ。ダージリンのね」
「あんまりないような」
「あんまりないからするんだよ」
「試飲、じゃないよね」
「僕もさすがにそこまで悪じゃないよ」
「ふーん。いただきます」

美味しかった。
それが分かったからか、祐月さんがニヤリとする。

「そっか。それは良かった」

そう言って、カウンターの茶葉の蓋を閉めた。

A recollection with you

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