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帰りの夜行バスまで、4時間ほど
今夜は運良く淀川の花火大会と重なっていて
打ち上げも兼ねて行こうと話していた
雨予報なんて知ったことか
晩ごはんをさっと食べて、新大阪でお土産を買う
そこで恩師(せんせい)に、また遭遇した
こんな人混みでも、声を掛けてくれるのは嬉しい
預けた荷物を受け取って
会場に向かい始めたところで
ついに雨が降ってきた
どんどん強くなって、豪雨になる
いくら雨天決行とは言っても
これじゃ無理だと思った
落ち着いた隙に、歩(ほ)を進める
結局、花火を見るどころか
会場にさえ辿り着けなくて
雨に濡れた紙袋が破れてお土産は散乱するし
最寄駅は人でごった返して
2kmも先のメトロの駅まで歩いて戻る羽目になったし
なんかちょっとお腹は空いたままだし
大阪駅で迷子になって、散々冷や汗を掻きながら
それでもどうにかバスには間に合ったけど
そのバスも、花火のせいで遅れてやってきた
オチだけ、踏んだり蹴ったりだった
バスのシートが行きのよりも随分良くて
君が僕に頭を預けるには苦労したけれど
疲れのお陰で、寝るには困らなかった
財布の中身は、すっからかんで
荷解きする気もすっからかんで
帰宅してすぐ、ふたりで布団に直行する
僕の右隣で、寝息を立て始めた君を見ながら
起きたら、夕方だろうなあ
呆(ほう)け半分の頭では
そう思うくらいが精々(せいぜい)だった
窓の外は、眩(まぶ)しかった。
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