You are my savior. file.3
玄関が開いて、閉まった
次の瞬間、僕の部屋のドアが開いた
「ただいま」
「おかえり」
家の鍵、本当に掛けてくれたんだろうか
心配するよりも、
隣に君が来て、抱き締められる方が早かった
この2日間の出来事を思えば
僕だって早く安心に身を任せて
眠ってしまいたいって言っても
大した罪にはならないだろう
お風呂に入る準備はしたのに
布団に入った君はテコでも動かない
「どうするの…?」
「ちょっと待ってくださ…」
語尾は、もう寝息で消えている
こうなっては、もうどうしようもない
諦めて一緒に寝た
次の朝、目が覚めてから繰り返し謝る君に
そんなに謝られても、何も戻らない
早くお風呂に入った方が賢明だ
電車は元通り、走っているみたいだし
普段よりすっぱり起きられたし、安心しきっていた
油断というやつは、こういうときにやってくる
お風呂を出るまでは良かった
堪えきれずトイレに走ったせいで、ご飯の準備がズレただけならまだしも
ストックしているはずの冷凍ごはんが一人分足りないことに
いまのいままで気付けなかった
普段なら僕がフライパンと洗いもの担当で
君がサラダとご飯の盛り付け担当なのに
役目をあべこべにしてしまって、余計に全部遅らせてしまった
食べて片付けて、朝の支度も急いでこなして
玄関に辿り着いたとき
君の方が先に靴を履こうとしていた
いつもなら僕が、靴を履き終えて待っているのに
ここまで逆になると、苦笑せずにはいられなかった
「行きましょう!」
目の前の君は、スーツが決まって紳士のようだ
君が玄関を開けてくれる
僕が鍵を閉める
今日が、始まる。
— You are my savior. file.3 —
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