We don’t forget anything.
久々に別々の休日になった
なんだか一緒に居たいような
でも、別々に過ごすしかないような
不思議な気持ちで
ただ、連休中の淋しいとも違っていて
何があったわけでもないのに、空っぽの気分だった
思った以上にだらっとしてしまって
ごはんを食べる暇もなく慌てて出る
作業道具は持ってきたのに
君は目薬を
僕は日傘を
ふたりしてハンカチを忘れた
昨晩、良い子で眠ってしまったから
準備がままならなくても、仕方ない
同じ夜だって、十分に奇跡だ
君は今日までの映画
僕は友人とのランチ
殆ど同じ時間の、逆方面の電車に乗る
ガラス越しに君は見えていて
手を振ってくれるかなって、ちょっとだけ期待した
背を向けてスマートフォンを見ていて
僕には、全く気づかなかった
それで良かった
お互い、どうにか間に合って
それぞれに楽しむ
君の方が先に済んだようで、メッセージが届いた
僕はスマートウォッチを着けているから
通知も中身も見逃してなかったけど
友人の手前、すぐに返せないでいると
メッセージごと消されてしまっていた
以前の口喧嘩を思い起こす
今度も、ふたりで行きたかったから
君ひとりきりで観たことを
僕が怒っているんじゃないかと思ったんだろう
ちゃんと見ていたし、怒ってないよ
そう君に送った
しばらくして、「ありがとう」って返って来た
どっちに対してなのかは、分からなかった
どんな些細なことだって
傷ついてしまうことは往々にしてある
そのままなんて嫌だから
通じ合わないでいる気遣いは
言葉で、そっと埋めていく
忘れたくないと思った。
—We don’t forget anything.—
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