朝の会話

僕らは、夕食を一緒に取れないぶん

予定の共有とか買い出すものとか

生活に関わる会話を朝食のうちにしている


ふと、昨日の会話を思い出す

「明日は出る時間一緒だからね」

そう伝えたあと、出掛ける直前に玄関先で

「今日は、一緒に行かないの?」

「明日だよ」

笑って返してから

なんだか愛おしくて抱きしめたくなった

寸でのところで、踏みとどまったけど


今朝の食卓は、とても哲学的な会話だった

この手の話は好きだけど

どうにも本として読む気になれなくて

知識としては、君より圧倒的に薄い

僕の学生時代のそれは、行動とか受け売りの結果であって

学びとして提供されたものは殆どなかった


純粋に、学ぶ機会のあった君が羨ましかった


「もしも僕が、東京の大学を選んでいたら

 どんな人生だったかなって思うときがあるよ」


過ぎたことを負目に思う必要はないと、言われても思っても

なかったことにもならないのは、どこかもどかしかった


「それでも、君とは出会えたと思う」

「そうですか」


何とも言えない表情だった気がする

たぶんこの話の帰着点は、此処ではない

もっと学びたかったって、悔いのような願いだった


皿洗いを一緒にこなして、支度して家を出た

僕らはちゃんと、前を向いて歩いてる


それだけは、確かなことだった。


— 朝の会話 —

A recollection with you

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