雨と風。

存在さえよく分からなかった台風が掠めていったその夜

君は、6日間の連勤をなんとか乗りきった


労いたい感情の裏側で

早く君に会いたくてたまらなかった


上手くいかないことは、きっと誰のせいでもないし

出会えてないだけだと言われても

いまは焦燥感ばかりで、楽観視など到底できそうもない

いつかって、いつ来るんだよって

情けなさと淋しさに支配されていた


なかなか戻って来ない君に対して

僕はそれをぶつけてしまって

いつもなら聴かないのに、聴かなくても平気なのに

ひとりで何してたのかと責めるように聴いてしまった


駄目だと分かっていて、抑えきれなかった僕に

腹を立てるのは自然なことで

「ひとりの時間が必要だって、言ったじゃないですか」

呆れきった声で言われる

悔やんだところで、遅かった


知っていれば怖くないだなんて

押し付けがましいにも程がある

でも、君が僕のことを聴かないのは

ただの気遣いじゃなくて

僕が話すまで待ってるわけでもなくて

ひとりのひとであることの尊重だって知ってる


穏やかに眠りたい夜に限って

僕は、なんてことをしてしまったんだろう

夜明けがすこし怖くなった


起きてすぐのことだった

僕を優しく抱き締めながら、君が耳元で囁く


「貴方との時間も大切なのに、ごめんなさい」


僕は何を言わせてるんだ

君が謝る必要はないと、伝えるだけで一杯だった。


—雨と風。—

A recollection with you

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