澪標 僕のささやかな夢編

君と叶えたいことは、本当に山のようにある

その中には、こんなささやかなものもある


君にお弁当をつくること

これまで誰にもつくったことはない

でも、既にどこか張り切っている自分がいた


朝の食卓で、それとなく聴いてみる

「ねえ、お弁当箱って持ってる?」

どこがそれとなくだ、全く

「持ってますよ」

「おお。タイミングあればつくろうかと思って」

「いいですね!

 じゃあ…早速明日なんて…」


まさかだった


というか、そもそも明日は君がえらく早く出る上、

仕事の中身的に外でランチするのは難しいだろうから

つくってやろうと思って話し出したところに

これでもかとドンピシャでハマったからだ


だから、こう言ってやった


「うん、元々そのつもりだったよ」

君は、遠足前の子供みたいに無邪気に笑って喜んだ


メニューもあっさり決まった

つまりは、僕のささやかな夢があっさり叶うことになった


メインディッシュは、内緒にしている

買い出しのレシートを見られてしまわないように

細心の注意を払わなければいけない


君より1時間早く起きることになったって

そんなことはどうでもいい

食後のアイスカフェラテまで辿り着いてくれたら、それでいい


いつもより長い時間帰って来ないことだけ

ただそれだけが寂しくはあるけれど。


—澪標 僕のささやかな夢編—

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