晴れ
しばらくなかった明日の早起きのために
君の好きなマカロニポテトサラダをつくった
隠し味にしてる鹿児島の芋焼酎を入れ忘れたけど
ご愛嬌ってことで許してもらう
作り置きだと言ったのに、帰って早々に1/4は食べてしまった
余計に進んでしまうのは、オリジナルカクテルのせいで
それは僕だって一緒だった
残りを保存容器に詰めて冷蔵庫に入れておく
きっと明日の君も、喜んでくれるだろう
早めにお風呂に入って、早めにお布団に入る
今夜の僕らは、ふたりして良い子だ
眠いとき君は「ねむねむ〜」と呟く
その声は普段よりずっと甘くて、可愛くて仕方ない
睡眠導入剤代わりに
君に書いた “ 未来の話(ラブレター) ” を朗読する
半分も聴かないうちに、僕に体を寄せたまま
ねむねむワールドに行ってしまった
午前8時20分、外の暑さを思うと気が向かなくて
ぼーっとした頭で、椅子に腰掛ける
それでもどうにか立って
なんとか音を立てないように準備をする
家を出る間際、「いってきます」を言おうとしたら
ねむねむワールドから、すこしだけ帰還した君が両腕を広げた
しっかりハグをしてキスもして、「いってらっしゃい」も貰った
今日も頑張れる
そう思って鍵を閉めた
君にモーニングコールは効かないので
一応掛けてから切って
「キャベツは野菜庫、ポテサラはその上の段で
ドレッシングはドアポケットだよ」
必要なことを送っておいた
朝の用事に取り掛かったくらいで
「起きた」とメッセージが来る
合間を縫って、頑張って起きたことから褒める
どんな小さなことでも、僕は偉いなあと思う
追加で戸締りの確認をお願いして用事に戻る
あとは君がいいようにしてくれるだろう
ひととおり済んで次の用事に向かい出してから、ふと思った
このまま行けば駅で会えるんじゃないか…?
馬鹿な僕は、すぐに足が速くなる
歩道橋の向こうに見覚えのある日傘があった
渋滞している車を追い抜いて走った
眼鏡なんかなくたって、見間違えるはずもないから
僕は、腕ごと手を振った
君は、そっと手だけ振った
ほんの数秒、そこだけがふたりの空間になる
もう一度、「いってきます」と「いってらっしゃい」を交わして
それぞれの行き先に向かう
直後、ちゃんと言えて嬉しかったよとメッセージを受け取った
僕も嬉しかったよ、と返しておく
走った甲斐があった
暑さなんて、もうどうでもよかった。
—晴れ—
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