優腹— ゆうふく —
セットしたアラームが鳴るまで、僕は二、三度起きてしまう
もう癖のようなものだけど
それで睡眠時間が足りていないわけではない
君の寝顔が見れるんだから大いに儲けものだ
たまに、布団と僕は一緒に包(くる)まれる
どっちも好きとはよく言ったもので
ここまでされれば信じざるを得ない
どんな夢を見たらそうなるんだろうかって
やっぱり気になってしまった
アラームの前に、また目が覚める
時間は、よく覚えていない
そのタイミングで君を起こしてしまった
そうっと布団に入り直すと
寝惚けたまま、横になって、不意に僕のお腹に手を当てて呟く
「お腹だ…。呼吸してる…。愛おしいねえ…」
僕に “ 愛おしい ” と言ったのは、初めてじゃないだろうか
寝惚けた頭で、そんなことを思いながら
真似をして君のお腹を摩(さす)ってみると
ふふんと気持ち良さそうにしていた
僕だって心地良いんだから、そりゃそうかと思い直す
3度目のスヌーズがくる前に、カーテンを開ける
太陽の光を浴びれば起きると言っていたのに
むにゃむにゃワールド全開で、仕方ないなあと
身体を起こしてやって、ようやく居住まいも整った
朝ごはんを求めて、お腹が鳴っている
今日も一日を始める合図だった。
優腹— ゆうふく —
0コメント