足跡
休日の余韻をこんな形で思い出すのは
良いことのような、悪いことのような
不思議な感覚になる
早起きが苦手な僕らへ、先週1週間分の皺寄せだろう
ついにそのときが来てしまった
身体の各所がどうやらしんどい
自覚すればするほどに、倍増してしまう
ああ、楽しかったなあで済んでくれれば良いのに
とは言え、労り忘れていたのは自分の所為だ
夜の住宅街を駆け抜けて迎えに急いだ
ベンチに座り込んだ君を見つけて、とりあえず鞄を持つ
水だけでは余計に疲れが出るから、清涼飲料水を買い足す
酔っていた昨夜よりも、フラフラしていたから
心配になって、熱がないか2回も確認してしまった
今夜もおんぶをせがまれて
ハンカチと家の鍵とスマホだけの身軽な僕は
君の荷物と君を一緒に背に抱えた
10mくらい歩いてみたところで、
「これ、自分の足で歩いて帰った方が早いですね」
耳元でボソリと至極ごもっともなことを言われた
そりゃ、その方が僕も楽チンではある
小腹が空いたって話があったことを思い出して
どうするか聴いてみたけど、食欲より疲れの大勝利で
そこまで考えられないまま帰宅した
帰ってまもなく、部屋でマッサージをする
これは辛かったろうなあと思いながら、肩の凝りをほぐしていく
あとは、なんとしても風呂に入れなければいけない
そのまま寝たら折角取れた凝りが戻ってしまうし
温まってから眠ると、睡眠の質も上がる
どうにかこうにかして送り出したあとで
お風呂に行こうとしたところ、洗濯しようとする君に出会った
別々に回しているから、滅多に遭遇しないぶん新鮮だった
「生活してるって感じがして、いいなあ」って独り言が漏れた
何気ない朝に向けて眠りの途につく
特別な言葉なんかなくたって、
どんな短い足跡だって僕には、ひたすらに愛おしい
いつでも我侭に、すべてを掬っていたいと思った。
—足跡—
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