示しあわせ

今週は、ふたりでゆっくりできた朝が少なかった気がする

こういう時間が増えていくんだろうかと

感傷に浸りそうになった


この休日も、お互いに予定がある

外はスッキリ晴れていてお出掛け日和だ


待ち合わせが丸被りだったから一緒に出ることにしていた

どうにかこうにか、うんうんむにゃむにゃ言う君を起こして

いつものルーティンをこなして

駅まで走らずに行けるくらいの余裕で家を出られた

そのはずなのに、コンビニには寄れなかった


乗り換え駅で、水を買う

無事に行って、無事に帰るためには欠かせない

乗り継ぎの急行で、運良く座席に座れた


思ったより随分早く着いてしまって

地下街で雑貨を見ながら涼む

渋谷で待ち合わせって、よく聴くけど

渋谷で行ってらっしゃいって、なんだかヘンな感じがする


僕らはお互いに、思い思いの休日を過ごす


日常だってもちろん特別に想う

ただ、その延長線にしか非日常がないってこと

それも特別な感じがする


友人に会うのが非日常っていうのも

なんだかヘンな感じがする

でも、大人になったって

そういうことなのかもしれない


だから、もしかしたら

ふたりでいることの意味は

そこにもあるのかもしれない


遅くなり過ぎないようにと、帰り支度をする

昔の最寄り駅からは乗らずに、一駅歩く

意図せず酔いが回ってしまったから

酔い覚ましのつもりだった


次いで、君にメッセージを送っておく

「僕より先に帰るようだったら、お風呂入りなよ」

どうせ僕の方が早いはずだ


各駅停車は、どうも苦手だから

なんとしても急行に乗りたくて

何度か電車を乗り換える


狙い通り、というか事前に調べた乗り継ぎを

余裕で成功させてから

安堵の帰り道になったところで、ふと思ったことがあった

そう、あった


君に送っておいたメッセージに返事が来る

「もうすぐ着きます!」

いや、どこのもうすぐだよと内心でツッコミを入れながら

思っていたことを送ってみる

「まさか同じ電車じゃないよねー?」

冗談の、つもりだった


送られてきたのは、

帰りまで同じ電車に乗っているという衝撃の事実だった


何の示し合わせもしてない

確かに行きは決めて行ったけど…!

君を見つけたときには

もうお腹を抱えて笑うしかなかった


電車を降りた頃には、僕の酔いは、すっかり醒めてしまった

なんでって、そりゃ君の方が酔っていたから

おんぶをせがまれて、やってはみたけど

ふたり分の荷物と君はやっぱり無理だった

君の足の代わりにもならないけど、強めに手を引く


ふたりでそれぞれ今日を話していると

予想だにしなかった示しあわせのおかげもあって

まるで全部が、何倍も楽しかった記憶に出来る気がした


お風呂に行こうとしない愛しいひとを

不機嫌の一歩手前で、なんとか送り出して

入れ代わりで僕も入る


今夜の夢見も、きっと良い

僕より3分だけ早く夢に入った君の、布団を掛け直した。


—示しあわせ—

A recollection with you

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