オムライス
夜ごはんがドーナツになったと
それなりに僕を驚かせるメッセージを
君から受け取った
休日だからかどこも混み合っていたらしい
今週2度目の共謀を提案をしてみると
あっさり受け入れられた
メニューを考える
何を食べたいか逆に聴かれて、
「ご飯ものかなあ。でも、ドーナツ食べたなら洋食がいいよね?」
そう言いながら、頭の中には卵が過(よぎ)る
「帰るまでに考えといて!ご飯確定なら炊いておくから」
それほど時間を置かずに、まさかの答えが返ってきた
「おむらいす…!」
おっ!予想的中!
ただ、ひとつ足りないものがあった
「やっすいのでいいから、赤ワインを頼んでいいかな…」
すぐに了解の返事をもらう
僕はケチャップライスが苦手だから
赤ワインでライスを仕上げる
本当は、デミグラスソースまでつくりたかったけれど
中濃ソースも、とは気が引けて言えなかった
それから、普段の君の食卓にサラダの存在を思い出す
どこのお惣菜にも敵わないかもしれないけど
ごろごろポテトとマカロニで、手づくりすることにした
すこし忙しく準備をすると、思ったより早く出来たから
オムライスの支度に取り掛かる
帰ったらすぐ出せるように、米もセットしてあった
赤ワインの到着を待つ
玄関が開くと同時に君の姿を認めて
疲れ切っていたところを申し訳なさと一緒に受け取った
もう作って良いか確認してから
一気にキッチンが慌ただしくなっていく
ふわふわのオムレツがつくれないから
ふわふわのスクランブルエッグで許してもらうことにする
夜の食卓をふたりで囲む
珍しいことが今週は2回も起きたことが
素直に嬉しかった
今夜のメニューは、
オムライスとマカロニポテトサラダ
サラダは僕の想定以上に好評で
美味しい、毎日食べたい
またつくってください、って、三段落ち
何にしても美味しかったならつくった甲斐がある
お陰で、今夜も気持ちよく眠れた
僕らには、休日の早起きも珍しい
お布団が大好きなのは分かるけど、ひとを待たせるわけにはいかない
どうにかして起こしたのに
眠気の理由は、これまたまさかだった
「昨日のオムライスの幸せ、持続中です」
もうここは天国なんじゃないかって
勘違いしそうになって
思考に待ったを掛ける
僕らは此処にいるし息もしてる
それをちゃんと確かめてから溜息をついた
迫ってくる約束の時間に追い立てられないように
僕らは、ふたりの朝を過ごした。
—オムライス—
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