calling you
今週は2回も早起きしなければならないことに
すでにゲッソリしていた
「いってらっしゃい」が言えないじゃないか!と恨みにさえ思う
「いってらっしゃい」を言われるのは、
それはそれで嬉しいことには違いないんだけど
午前5時、目が覚める
早過ぎたから二度寝に入った
午前7時、1度目のアラーム
ミスった
君を1/5くらい起こしてしまう
まだ早い
30分のアディショナルタイムをセットして三度寝をする
午前7時半のすこし前に起きた
まだまだ君は、むにゃむにゃワールドにいる
音を立て過ぎないように支度をするけれど
さすがに1/3くらいは目が覚めたらしい
無防備な口に、そっとキスをしておく
どうも嬉しかったらしい
ふふんと満足げに笑って、珍しくそっぽを向かなかった
「もっと一緒に寝てたい…」
そんな呟きで、僕は先に出なければならないことを
重い罪だと感じてしまうくらいには愛しくなる
名前をつけるとしたら、どうだろうなあ
僕が行ってきますと言った罪…?
君に行ってらっしゃいを言わせてしまった罪…?
これはとんだ馬鹿だと思い直して、考えるのをやめた
寝惚けた君の1/1の「いってらっしゃい」を受け取る
小さくも全力で手を振る君に、名残惜しさを覚えながら部屋を出た
午前9時過ぎ、出先からモーニングコールする
しまった、出るわけがない
君のスマホはアラーム以外の通知が鳴らない
2度掛けても出ないことにヤキモキしないまでも
起きなきゃやばいぞと念を送り始めたくらいで、折り返しが来た
むにゃむにゃから不機嫌を通過して
さっきの何だっけ??くらいの通常営業に戻っていく
この順番で君は、僕にリモートで起こされる
「寝起き、不機嫌でごめんね」
と丁寧に謝られたけど
「不機嫌な君も可愛いからいい」
と起き抜けの水を飲んだ君に声を落とす
そういえば、昨日の夜は、
見上げたい気分だったんですとか言って、
やけに僕を見上げてたなあ
まあいいや
朝の勤めを済ませてからブランチをする
通りに面した窓が大きい店だ
そろそろ出掛けた頃だろうと想う
やりとりをしていたら、君が今聴いているという音楽を教えてくれた
目に見えないところで、僕もそれに合わせる
インターネットの時代に生まれて良かったなあって
どこかのおじさん地味たセリフだけど、本当にありがたく感じる
窓の向こう、たぶんあの電車には君が乗っているから
人目を気にせず、腕ごと手を振れば気づいてくれるかなって
馬鹿みたいなことを考えてから
今日も頑張っておいでと、心の中でエールを送ってみた
やっぱり、馬鹿だなあって笑われた。
— calling you —
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