rely on me
僕らの夜更かしは、君との優しい朝を繋いでいると思う
朝ごはんはパスタにするから
すこし早く起こして欲しいと頼まれた
いつもより15分早く起こして早々に、君は言い放つ
「貴方って綺麗な目してますよね」
「君の方が綺麗だし、素直な目をしてる」
そうして、なんとかギリギリ撃沈を回避したのに
「私を見る貴方の目が綺麗なんですよ」
なんて言い直されて、やっぱり君には敵わなかった
キッチンに行くと、宣言通りパスタを作っていた
頭の片隅を、これギリギリにならないかって思考が過ぎる
とりあえずその辺に置いて
自分のごはんとふたりで飲む紅茶とつくる
時折、時間を確認する
僕は声を掛けて、片付けを手伝う
ひとりで全部する必要はない
ここには、ふたりでいる
ごめんって言うくらいなら
できない自分を駄目だって許せなくなるくらいなら
分けてくれれば良い
ありがとうって、それでいい
傘を差して駅までの道を歩く
睨めっこは、相変わらず僕の勝ちだった
「昨日より良い顔してるね」
と僕が言うと
「今日は良い朝を過ごせたんで」
ほぉーんと思ってしまった僕はピンと来て
「ふーん?」
と2回繰り返したあとで君の顔を見やって
もう1回「ふーん?」をくれてやる
照れ笑いをしながら、容赦なく小突かれた
僕も君と一緒になって笑う
改札前でお互いに手を振って、それぞれの場所へ向かう
そんな日常にひとつ、奇跡が起きた
君が、もう一度振り返って、僕に手を振っている
ただ「もう一度」
たったこれだけのことで、僕の今は、幸せだらけになっていく
言葉にしなくたって、ならなくたって別に。
— rely on me —
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