朗読
この頃の僕は、
君が声に出して読む姿を想い浮かべながら
書いている気がする
昨晩初めて、生声の朗読を聴いた
いつも画面の向こうにしかいない芸能人に会えたくらい
嬉しくなったのを覚えている
“ 声 ” を聴きたいとき、僕は、目を瞑る
表情とか口の動きとか
見ている方が大事だと言うひとも居るけれど
見ていなくたって十分、想像で賄える
誰かの言葉を、自分の言葉にするのが
君のすごいところだ
感情を抑え込んでいるはずなのに
唄うときと同じくらいの強さがそこにはあった
上手いだけが、
綺麗なだけが、
この世界のすべてではないと、証明するように
大丈夫。
誰がどう言おうと、君は唯一無二だ
あるひとの唄に、納得がいかない、と溜息を吐く
君の言葉ではないから、およそ当たり前ではあるけれど
目で受け取るのと声に出すのとは、やっぱり違う
その代わりになるかどうか分からなかったけど
僕も読んでみた
下読みなしのファーストテイクで、君の顔を見る余裕はなかった
どんなふうに聴いていたんだろう…
君に偉そうに言えるほど、元より上手いわけではなかったけれど
文章を追いかけながら、下手になったなあと内心凹む
でも僕は、もうひとつ嬉しくなった
自分が嫌いだったこれまでの色々が、君の役に立てると知ったから
生きるのやめなくてよかったなあって、大袈裟に思った。
—朗読—
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