take your hand

これまで受けてきた傷とか

これまで壊れたものとか

必要ないのに数えてしまうときがある


もう失うのは嫌だと何度も思ったところで

否応なく来てしまったその瞬間に

僕の足は竦(すく)んでしまうばかりだった


だから、こころに蓋をする

言葉にしなければ、触(ふ)れなければ

伝わってしまうことはない

自分を置いてまでして

相手を見ようとするひとなんていない

勝手に苦しんで、いつか憧れに変わるだけだ


旅に出る、そのときだけ

唯一、僕は僕でいられた


誰も僕を知らないことが、純粋に心地よかった

姿を変える魔法を掛けて

どこか違う世界にいる気持ちになれた

いや。たとえ僕が異世界人だったとしても

見ないふりをしてくれている気がした


だけど、君には全然効かなかった

それどころか、こんな僕と旅をしたいと言う


嬉しいと素直に返せなかったのは

いまの僕が情けないほど不自由で

君を困らせてしまうばかりかもしれないと

思ってしまったから


でも僕は、ちゃんと僕を幸せにすると決めた

僕を大事にしてくれるひとを幸せにすると


自由に歩けるようになるまで

もうすこしだけ時間が掛かるけど、

待っていてくれるだろうか


隣を歩く君の手の優しさが、きっとそのこたえだった。


—take your hand—

A recollection with you

カフェ“ポエム” since 2010.11.27

0コメント

  • 1000 / 1000