sincerely

夜、二杯の紅茶を丁寧に淹れた


机を挟んだ向こう側で

書き付けるように言葉を選んでは

ティースプーン1杯分の感情を乗せている


それは、隠しごとの得意な君が、

僕にだけ宛てた手紙を書いているみたいで


仕方ないと思う

僕も通ってきた道だから


ただ、その辛さを抱えたままでいて欲しくなかった


いまの僕にできることは

降り続ける雨に傘を差して

頼りない言葉を並べ立てて

一緒に止むのを待つことくらいだと


それ自体は、決して間違ってなかったけれど

君を本当に目の前にしたとき

瞬きなんて、すっかり忘れていたんだ


必死になって取り戻そうとした僕は

君の真っ直ぐなこころに、勝手に救われている


でも、救ったり救われたりするだけの物語なんか

誰も求めてない


「一人であって、独りでないこと」


僕だって未だ至らないことだらけだけど

大人になるには必要なことに違いなかった


君が生きていく世界を大事したい

優しい嘘が得意な僕の、精一杯の現実(ほんとう)だった。


— sincerely —

A recollection with you

カフェ“ポエム” since 2010.11.27

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