いきうつし
もしこの線が、否応なくまた交わることを知っていたなら
あの日、ひとおもいに振り翳したのは、何のためだったんだろうか
目の前の君は、まるで、いきうつしだった
重ねた年月で、消えかかったこころまで
無邪気に笑っていた僕らは此処にはいないけれど
互いの傷に気づけないほど言葉を捨ててはいなかった
時間だけでは、役不足だったらしい
去っていく背中を、呼び止めることはしなかった
この物語を、ただ綺麗に終わらせることだけ考えてた僕に
明日の魔法なんて使えなかったから
本当に守りたいものは、変わっていない
時計の針が穏やかに刻んでいく1分1秒が、当たり前にありますように
道に迷ったら、帰れる場所があることを忘れませんように。
ーいきうつしー
0コメント