初恋

気づけば、僕は、言葉の海に投げ出されていた

他の誰の手を取るでもなく

ただ長い時間、じっと耳を澄ませてきた


舞っているのか、落ちているのか

そこにさして違いはないように思える


目を瞑ってしまえば、なんだってよくなった


想像任せの朝焼けは、ひどく綺麗で惜しかったし

想像任せの夕暮れは、終わりと言うか始まりだった


半径6371kmではなくなった水平線を

晴れ渡った空色と一緒に、

どこまでもまっすぐ歩いていくことに

何の意味があるんだろうか


水溜まりに一輪の花が咲いていた

この花の名前は、色は、何だっけ?


答えはない、はずだった


何かが落ちてくる音がした

決して大きくはないのに

確かに、はっきりと、波紋が広がっていく


それはそのまま、そこに留(とど)まった


「    」


僕の…?

それとも、君の…?


知らなかった温度の

書けなかった感情の

見えなかった言葉の


僕は、ずっと待っていたのかもしれない


この世界に、ただひとり

誰の代わりにもなれない、君の声を。


ー初恋 from カフェ"ポエム"オリジナルブレンドー


A recollection with you

カフェ“ポエム” since 2010.11.27

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