初恋
気づけば、僕は、言葉の海に投げ出されていた
他の誰の手を取るでもなく
ただ長い時間、じっと耳を澄ませてきた
舞っているのか、落ちているのか
そこにさして違いはないように思える
目を瞑ってしまえば、なんだってよくなった
想像任せの朝焼けは、ひどく綺麗で惜しかったし
想像任せの夕暮れは、終わりと言うか始まりだった
半径6371kmではなくなった水平線を
晴れ渡った空色と一緒に、
どこまでもまっすぐ歩いていくことに
何の意味があるんだろうか
水溜まりに一輪の花が咲いていた
この花の名前は、色は、何だっけ?
答えはない、はずだった
何かが落ちてくる音がした
決して大きくはないのに
確かに、はっきりと、波紋が広がっていく
それはそのまま、そこに留(とど)まった
「 」
僕の…?
それとも、君の…?
知らなかった温度の
書けなかった感情の
見えなかった言葉の
僕は、ずっと待っていたのかもしれない
この世界に、ただひとり
誰の代わりにもなれない、君の声を。
ー初恋 from カフェ"ポエム"オリジナルブレンドー
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