靴紐を結び直して編 あと

そして時間をたっぷり置いたあとに、彼女は言った。

「彼、結んでくれると思う?」
「どうだろうなあ。頼んでみると良いよ」

僕は言ってしまってから、少しだけ彼に申し訳なくなった。

「楽しそうだから、やってみる」

実験じゃないからね、楽しみより真面目に君の問題を解決するためにするんだよ…なんていう僕の願いはきっと届かない。
ティーラテを綺麗に飲み終えてから、こちらを確認するように見てから彼女は言った。

「マスター。また満月の日にね」
「ええ、また。結べると良いね、靴紐」
「帰ったらすぐするから、大丈夫だって」

カウベルが音を立てて、ドアが閉まる。

来月はどんな話だろうか。
年末だけど、相変わらずの中身なんだろうな。そんな風に考えていた。

A recollection with you

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