窓際で 編―その8― Yuduki side.
どうやら詩歩が困っているらしいことは見て分かる。
髪の毛をくしゃくしゃにされている。
「見てないで何とかしてくださいーーー」
「ははは」
未夜さん。その辺で…なんて視線は届くはずもなかったので、声に出す。
「未夜さん、お話まだ終わってないですよ」
「あっ」
我に返ることは出来たらしく、ごめんっ、と手を合わせて詩歩に謝っている。
当の彼女は、膨れた顔をしながら髪を直している。
「柄にもないところ見せちゃったね」
「何言ってるんですか。知ってましたよ」
「いつから」
「さあ」
はぐらかしたところで、本題に戻る。
「それで、とりあえずは近いうちにカフェに来て欲しいんですよ。百聞は一見に如かず、ですから」
「私はお店閉めて行くんだから、おいしいコーヒーくらい出してね」
「ははは、もちろん」
詩歩のケーキ付きですよ、と未夜さんに言うと、いまから行くのが楽しみだと、嬉しそうな顔をした。
気付けば3時だった。
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