窓際で 編ーその6ー
「おかえり」
詩歩が選ぶデザインは、僕のツボを突いてくる。そして値段も控えめだ。別に、僕も詩歩もケチな訳ではない。
「詩歩ちゃん、サイズはどうするの?」
「えーっと…」
言いながら、メモを取り出して未夜さんに見せる。
「うん、分かった」
「お願いします♪」
そこでこちらを見た未夜さんは、にやっとしていた。少し身震いした。
「可愛い上に出来る子だなんて、ゆづくん?」
「…何ですか?」
目が、「このこのー」と言っている。頭の上にクエスチョンマークを浮かべた詩歩も僕を見ている。
どうしたものだろう、と考えているうちに、話は元に戻った。
「詩歩ちゃんも座ってすわって?」
「あ、はい」
「それで、ゆづくん。どんな風にする?」
「あ、ああ、うん」
僕の頭も元に戻る。そうですね、と言いながら僕もメモを取り出す。メモと言っても、お店の設計図のコピーに書き込みをしたものである。
「う~~~ん。わかりにくい!」
未夜さんが叫んだ。
「えっ」
「書き込みするときは色の薄い鉛筆でって、何度も言ってるんだけど」
「す、すみません…」
謝ったところで、詩歩に目を向けた。
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