窓際で 編 ―その3―

とても良い天気だ。
路面電車は、何度も止まる。振り返っては立ち止まるのと似ている。
窓の外を楽しそうに眺める詩歩。降りる駅が近づいて緊張しているのは、僕だけだろう。

「着いたよ、降りよう」
「はぁい」

市内でも西よりの駅で降りた。
歩こうにもすぐには歩けない、というのも…。

「あ、暑い…、日傘差さないと」

鞄を探るのに出てこないのは、たぶん、ないんだろうと思う。

「日焼け止めで我慢…」
「だめです~」
「ないものは仕方ないよ。行った先にたぶん、置いてあるからさ」



「ここですか?」
「うん、そうだよ」

目の前には、一軒の雑貨屋。 

チリンチリン

僕らは店のドアを、開けた。

A recollection with you

カフェ“ポエム” since 2010.11.27

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