like humming
いつか僕がやりたいことと
いつか君がやりたいことは
話してみると
レイヤーが違うだけで
上から見れば殆ど同じ設計図だった
創ることで生きていると
一度は、行き着くものなのかもしれない
「いつか貴方とコラボしてみたいですね」
「どんな?」
「私の夢の場所で、コーヒー淹れてもらうとか」
「それ。君が飲みたいだけでしょ」
「そうですね」
言いながら、柄にもなくケラケラ笑っている
“ ワレワレハボイスチェンジャーである ”
高校の先輩が、そんな謳(うた)い文句で
部活のチラシを書いていたのを思い出した
タヌキを模した、顧問のイラストと一緒に
(よく怒られなかったよな、とは思う)
僕は先輩みたいなチェンジャーには、なれなかった
そのぶん、何が他に出来たわけでも、なかったけど
「僕の詩の題材になってる時点で
いま十分コラボしてると思うけど」
いま出来るのはこれくらいだ
そんなつもりで言ってみただけなのに
「私は、貴方のいっちぶ〜」
私は、いっちぶ〜」
「ふごっ」
君の所為で、思いきり呼吸し損ねた
鼻歌こそしないくせに
そんなクサいセリフを
鼻歌みたいに口に出すから
目が点になるか、耳を疑うか
あるいは両方で、僕を驚かせてくれる
「1滴の酒も入ってなくて、よく言えるね…」
どうにか咳を収めながら言ってみる
いまにも鼻を鳴らしそうな顔で、君は僕を見上げていた
「しょうがないじゃないですか。
好きなんですから」
やっぱり、敵わなかった。
— like humming —
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