とろっとろ目玉焼きモーニング
僕と君の朝ごはんは、いつから一緒になったのか
遠い昔のような気がしているけれど
ふたりになって半年ちょっとだと思うと
どうにも不思議な感覚がする
コーヒーか紅茶か、紅茶の茶葉は何にするか
何も聴かなくても分かるくらいになった
もしかしたら気分じゃなくて
用意された方を仕方なく飲んでいるかもしれないけど
僕の朝は、君を起こしたあとが本番だ
ふたりの朝ごはんを用意する
朝の支度を普段通り特急で済ませたら
キッチンは僕の戦場になる
君は着替えて部屋を出てくると
必ずコップ1杯、果汁100%のジュースを飲む
自分の身体への些細な気遣いらしい
沸かしていたポットがカチッと言う
サラダとご飯の盛り付け
それから、ティーポットは君に任せて
目の前のフライパンと向き直る
ハッシュドポテトとウィンナーは、170℃で焼かれていく
僕には、どんなに急いでいても
とてつもなく丁寧にやることがひとつだけある
とびきり美味い、とろっとろの目玉焼きをつくることだ
片側を焼いた2品をひっくり返すまでが
そのための精神統一の時間になるのは、必然かもしれない
2品をひっくり返して、フライパンを150℃に落とす
黄身に細心の注意を払って
卵を割り入れたら塩胡椒を振って
蓋をして蒸し焼きにする
フライパンを火から上げるタイミングがミソだ
目玉が白くなる前に上げて、余熱で仕上げる
今回は、随分出来の良い目玉焼きになった
これだけで、外は雨でも気分がいい
フライパンの上のものを綺麗に2等分して
君が盛り付けてくれた、サラダの周りに置いていく
簡単に洗いものを済ませて手を合わせる
「いただきます」
昨日より
一昨日より
ゆっくり
ふたりで
朝食を摂る
白身は先に食べて
僕も君も、目玉をご飯に乗せて
箸で崩す
とろっとした黄身に
「今日は上手くいったよ」
「ほんとですね」
そう言って微笑んでくれる
「明日の弁当、楽しみにしててね」
「はい!」
元気良く返事する君を
今日も今日とて愛おしく想った。
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