Two cups of café latte
唐突に空気が秋めいたから
今朝は久しぶりに
カフェラテを淹れることにした
それからふたりで
「今日だ!」と意気込んで
君は新しいスーツに身を包んだ
いつぞやの大雨の日
生地から選んだのが懐かしい
想像通りだったけど
超似合ってたし、超かっこいい
自慢の君
写真撮って、って頼まれてるけど
僕が撮りたいとお願いしたいくらいだ
誰より何より
ぶっちぎりの綺麗で収めたい
自慢の僕でありたい
いつも通りの朝ごはんを用意する
エスプレッソマシンを起こして、スチーマーのボタンを押す
半年ぶりのミルクジャグには、妙に緊張した
ノブを捻ってスチームを掛ける
身につけた感覚は、なんとか帰ってきてくれた
エスプレッソとミルクを馴染ませて
ラテアートの初歩、ハートを書いてみる
それとなくそんな感じになった
2杯目は、残念ながらしくじった
それでも、お気に入りの豆を使っているから
味だけは、保証出来る
食卓に2杯のカップを並べた
「今日は、カフェラテの気分でした」
「おっ、気があうね」
言いながら、新しいスーツでラテを飲む君は
眼福以外の何ものでもない
「美味しいです」
フライパンを洗う僕に、そう声を掛けてくれた
ほくそ笑んでいたかもしれない
「君との朝ごはんは、最高だね」
今度は、君がほくそ笑んだ
食卓に合流する
「ウィンナー、パリパリでいいですね。
卵も、とろとろです」
「僕の、固い…」
自分でつくっておいて、自分に愚痴を洩らす
君のが上手くできてるなら、許してやろう
ゆっくりしていたいけど、そんなわけにはいかない
これから君は、仕事に行く
僕には、家事が待っている
出る直前に、玄関で、さっと記念写真だけ撮っておく
いくつになっても、初めてがある
日々が愛しいのは、君のお陰だと思った。
— Two cups of café latte —
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