When I was half asleep, you said.
昨晩、お互いの価値観を理詰め過ぎて
気付いたら朝を迎えてしまった
ふたりで、仲直りみたいに映画を見て
ふたりで、晩ごはんをつくって食べて
もうあとはお風呂に入って
気持ちよく眠りに就くだけだったのに
眠れないと荒れ狂う君を、怒る気にも叱る気にもならない
どうしてこんなに静かに見ていられるのか
はっきりとは分からなかった
されるがまま、君が寝てからしばらく起きていた
「私のこと、大切にしてくれてありがとう。
自分勝手で、ごめんなさい」
一度目のアラームのあと、君が不意に言った
「謝るのはいいけど、どうして欲しいの」
「自分勝手にさせてください」
言っていることが、いつかと真逆だった
これは君の甘えだと知っている
大切なものをひとつに絞りたくないこと
僕に君を唯一の特別にされたくないこと
君の線引きは、何度も聴いて知っている
だけど、すべて受け容れるのは違う気がした
「大切なものをひとつにしないのは、いいよ。
でも、君はひとつに集中する性格だから、決して器用じゃない。
他人から色々もらうばっかりで、
自分が気分よくなるだけじゃ、失くしていくだけだよ」
刹那的に生きようとする、いまの君じゃない
たったひとりだからと、不自由と厳しさの中で
何とかここまで生きてきた、君の痛みがそうさせている
たくさんを同時に、同じだけの気持ちを注ぐなんてことは、
たとえ神様であっても難しいし
あまつさえ、ひとに生まれた僕らにできるとは到底思えない
替えが利くものを、本当に大切だって言えるのか
そこまで君が考えているとも思えなかった
僕は言葉を続ける
「だから、僕ひとりでも大切にしてみなよ」
「わかりました」
渋々ではなく、聴きましたという顔だった
正直なところ、まだ眠い
布団を掛け直す
今日もよく、晴れている
君に、洗濯物を頼まれた。
— When I was half asleep, you said. —
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