夏の夜風
君からのメッセージを返し損ねた
それだけのことで、僕は溜め息を繰り返してしまう
よくある業務連絡だった
3時間くらい前に僕が送った「お米頼んだよー」に
「ありがとうー」って、君が返してくれている
君が僕にすぐ返事ができないからって
決して同じように思って欲しいわけじゃない
断じてない
返せなかったのだって、わざとじゃない
頭が回らないからって、すこし横になっていた
誰も何も、悪いことはしていない
タイミングが合わなかった、それだけの話なのに
どうしてこんなに焦らないといけないんだろう
ずっと考えてしまう
畳んだ洗濯物、君に渡さないとなあとか
明日は、しっかり掃除しなきゃなあとか
あれしたいから、これ節約しなくちゃとか
この先、僕は何をしたら満足できるかとか
ゆっくりで良いって、君は言ってくれるけど
起きている間中、眠るまで、
思考を止められないし、止まらない
もしかしたら、そのことが苦しいのかもしれなかった
でもやめたら、僕が僕じゃなくなる
放棄なんて、できっこない
お酒なんて呑んだら、余計に捗ってしまう
思ってもないことを言って、傷つけてしまうかもしれない
僕は僕のことが怖い
怖いけど、きっと、やめられない
駄目だなあと、溜め息混じりに独りごちる
夏の夜風が、今夜は涼しかった。
—夏の夜風—
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