talking
先生との話は、いつも不思議だ
まとまっているようで、ひとつもまとまらない
初めから、僕の中に答えはあると言われているような
そんな感覚になる
ずっと気にしていたことを聴いてみた
いまもそうなんですけど、不意に涙が止まらなくなるんです
“ 大事なひと ” と話しているとき、
そんな日常から離れたようなことじゃないときでも
気が抜けてるんですかね?
なんかすごい恥ずかしいんですけど。
先生は、いつも、僕が言葉を置くのを待ってくれる
良いことじゃないですか!
それだけ安心してるんでしょ?
流せばいいんですよ!
あっけらかんと言い放たれる
何かが狂っておかしくなったんじゃないかと思っていたけど
そんな不安は、数秒と経たずに消し飛んだ
手に持っていたハンカチを、改めて目に当てる
ついでに、ずっと聞き損ねていたことを聞いてみた
あのとき、最初はやめた方がいいって言ってたのに
どうして、次には変わったんですか
もしかして、背中押してくれてたんですか?
その返しは、意外なものだった
いままでが、あんまり酷かったですからね
親心ですよ
まあ、お顔を見て心配ないってことは、すぐ分かりましたけどね
いつもとすこし違う顔で、敢えて勢いを失わせた優しい口調に
思わずじーんときてしまう
さっきまでの低気圧は、もう、どうでも良くなっていた。
— talking —
0コメント