夜雨

前を歩く君が不意に

「さよなら」

なんて言い出すから、何事かと思った


してやったりの表情で、ひとしきり笑ってから

「もう寒くないね」と、涙目に僕の手を握る


そうだね、君の言う通りだよ


望まない春は、ようやく夜雨に消えていく

生きている理由なんて、ただそれだけのことだった。


—夜雨—

A recollection with you

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