帰る場所
玄関の開(ひら)く音が待ち遠しいのは
僕を帰る場所だって、言ってくれたからだった
それでも、こころ細くなってしまうことがある
言わない余白は、言わないままで
知らない余白は、知らないままで
無条件に守ってあげられたらいいのに
そんなふうに強くありたいなあ
君のことを信じていたいのに、僕のことさえ聴いてくれない
この憂いは、どうしたら消えてくれるのか分からない
重ねてきた言葉だけじゃ全然足りなくて
ふたりになってからなんて
人生の云十分(ウンジュウブン)のイチしか経ってないんだから
重ねてきた時間なんて、そりゃ当然足りてなくて
いくらお互いに想ってたって
すべて思うようには、なれないよな
でも、きっと僕が至らないだけなんだろうな
今夜も、もうすぐ君が帰って来る
会えるって感覚が、僕には未だにある
失くしたくないとは思うけど
それなりに一緒にいて、ちょっと寂しいなあとも思う
だから
「おかえり」は、会いたかったよりも
今日もよく頑張ったね、お疲れさまって意味で言いたい
今夜もここに帰ってきたって安心感で、迎えたい
ふたりの余白を、淡く確かに染めていくように。
—帰る場所—
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