ありふれる
外に出ようと誘われた
寒いのは苦手だから、冬籠りを決めていたけれど
こればっかりは、仕方がない
バタバタと準備をしている
その音だけで、楽しそうなのが分かる
僕も、きっとそう
鍵を閉めて、家を出る
川沿いの道を散歩する
僕は、君のための五線譜を引いて
後ろからは愉快なタップが、いつもの道に音符を刻んでいく
ト音記号(みちしるべ)も、君の役目で
ふと僕の前に出たそのとき、僕の顔を確かめて意地らしく笑った
手袋を忘れた手のひらを
握ってくれたんじゃないか、と勘違いしてしまう
ついでに溢(こぼ)れた微笑みに、君は満足気な顔で応えて
また、僕の隣に収まった
気づかれないように息を吐く
どうしようもなく、こころがありふれた。
— ありふれる —
model : mitsu
camera : SONY α7Ⅳ
lens : SONY FE35mm f1.4 GM
filter : Kenko WhiteMist No.1
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