おいしいコーヒーのいれ方
この小説に出会ったのが、高校席の頃、放課後の図書室でした。
当時「コーヒー」好きだからと読み出して60ページくらい経ったころ、裏表紙のあらすじを読み直したときのことを今でも思い出します。
そう、読み出したとき、僕はおいコーを恋愛小説だと思ってなかったんです。コーヒーのお話だと思っていたんです。お恥ずかしい。
気付いてからは、これまた恋愛小説だと思って読んでいたところ、それもまた間違っていたことに気付かされました。
これは、人間の生き様なんだと。
それから、僕にとって「おいしいコーヒーのいれ方」は人生のバイブルになりました。
勝利やかれんをはじめとした登場人物の言葉たちは、何度読んでも生きている言葉で、いつでも寄り添ってくれる。それこそ、この『てのひらの未来』は、電車の中で読んではいけないと思うほどに、でも読まずにはいられないほど、感情が動かされて何度となく涙が出そうになりました。
読み終わりたくない。終わらないで、まだ続いて欲しい。
もっと勝利とかれんのふたりの、あるいは登場人物たちの人生を読み続けていたい。
もどかしいような切ないような。
何度も読んで、
あぁ、生きてて良かったな。
大袈裟だけどそう思える、とても素敵な小説です。
作者の村山由佳さんに、いつかお礼を言える日が来ますように。
カフェ“ポエム”店主 星野 祐月
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