ー these days ー

ヤダヤダとどれだけ喚いても、仕方ないこと。梅雨に入りましたと聞く度に、僕のテンションはウナギ下がりになるわけで、どうでもいい思考に乗っ取られないように必死にならないといけない。面倒臭いったらありゃしない。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

すこし前、友人と話していたときのこと。

「低気圧にこっ酷くやられるんですよ」

と僕が言うと、自分もそうだと。

「人間って気圧の影響は、ちゃんと受けてて、それが表に出るか出ないかだけなんだよね。そうなるのは下がってるときだけで、下がりきってしまえば、なんてことないのにね」

続けて、そんな話をしてくれました。いや本当にそう。なんだ人生みたいだと思わないでもないけど、どうにも出来ない何かの影響は、受け止めてやってくしかないんだなってね。悪いことばっかりじゃないのも確か。引き摺られそうになる瞬間はあっても、もうそれだけじゃない。惰性じゃなくて、ちゃんと自分で選び取ってる大人なんだよなあって。

昨晩、とある映画を観ました。

それは、毒された（と一言では片付けられない）家庭で育った子どもが、それぞれの傷を抱えながらも、自分の人生を選び取っていくお話。

原作を買って読んでいるところですが、そりゃまあ、映画と小説じゃあ表現方法が違うから、構成や登場人物のキャラクターなどは、本編の仕様はそれなりに違っていて、良い悪いじゃないなって思っています。それぞれを楽しむ精神で。

それはさておき。掛け値なしの感想は、「あ、これ現実だ」でした。

これは良くも悪くも僕の癖で、物語をある種の現実として見てるんですね。そうすると何が起きるか、その物語は自然と、自分の現実の一部になってる。人生の時間軸は、パラレルワールドではなくて、みんな等しく同じだから、誰かの1日が突然10時間になったり36時間になったりはしない。自分の生きている時間の中に入れ込んですることは、登場人物の色々を自分と重ね合わせる “ 作業 ” 。

本当は、失礼なことかもしれない。比べてる、のかもしれないし、共通項探しをしている、のかもしれない。あるいは、これからのことを考えるヒントを見つけようとしている、のかもしれない。そんなこんなを鑑賞中にしていて、思わず息が乱れそうになる程苦しくなって、拳を握ってなんとか耐えたり、あんまり辛いとそうなっちゃうこともあるよなって切なくなったり、そこから逃げて良いんだぞって背中を叩きたくなったり。戦うために立ち向かったり向き合ったりする姿を超格好良いって思ったり、誰かを大事にするってどういうことか自分に問い直したり。

すると「あ、これ現実だ」に行き着いたわけです。

大人として生きていく以上、自分の何にも責任は持つべきだけど、それは人に押し付けたり縛り付けたりする権利でも義務でもない。履き違えている大人みたいな顔した人間が本当にたくさんいるし、事実、僕の過去にはたくさんいた。「大事」だって嘘も、何度吐かれてきたか分からない。過去より今日や明日、引いては未来に、何を選んで生きることが大事だと思えるようになった今だから、余計にたくさん突き刺さったんでしょうね。

登場人物の台詞にもたくさん救われました。中には、僕が大事なひとに掛けた言葉もあって、ああ、間違ってなかったんだなあって。向き合ってなきゃ、そんな言葉、出て来ないよなって。原作にも、映画の作中と同じ台詞がちょくちょくあります。登場人物にこの言葉を書いてくれた原作者さんには、声を大にして、ありがとう！！！って伝えたい。

なんにせよ、独りだったら、絶対に出会えなかった。

一人だから、こんな素敵な作品に出会えた。

うん、本当に良かった。

2025年6月、ついに来てしまった梅雨に傘を添えて。

星乃祐月（ほしのゆづき）

星乃詩歩（ほしのしほ）

‐ A recollection with you ‐ introduction