unforeseen
僕は、何のために生活をしているんだろう
時折、忘れそうになったり分からなくなったりする
訳を、思い出したり思い至ったりする度に反省する
どうして繰り返してしまうんだろう
喧嘩も後悔もしたくないのに
「時間が足りない」
口癖のように、君が言う
一緒に出掛けたいと言った所為だ
心のバランスの取り方は、同じではない
僕は外交的で、君は内省的だ
「いつも一緒にいるからって、
御座なりにするのは、違うと思うよ」
「私は、自分で決めたいんです。
貴方と約束したこと
前に破ってしまったから、約束するのが怖いんです」
君のスイッチを入れてしまったことを早くも後悔する
こうなっては、この場で聴いてもらうのは難しい
「この話をするなら、この人に会いたいって、
そろそろあの人に会っておかなくちゃって、そう思うんです。
それに、1日中、同じ人と一緒にいるのも、
しんどいと思っちゃうんです」
「自分の打算で人に会うのは、失礼な気がするよ。
それじゃ、君が大切だと思っても離れてしまう」
僕が誰かを叱るのは、僕以外の、他人が絡むときだ
純粋に勿体ないと思ったけど
君は、いまでも素敵なひとなのに
もっと素敵な大人になれるんだとも思った
お互いに気に掛かる部分があったって
そう思えるから、信じている
言い合えるから、愛している
だから、自分を最優先することは悪くない
僕だって、そうなってしまうかもしれない
傷つけあうことにならないように
ちゃんと家族でいられるようにしていたい
そのまま僕らは眠ってしまった
朝起きてはじめの一言
「仲直りしましょう」
そもそも崩れてないから
直すと言うのが合っているのか
つい疑問に思ってしまう
「うん」
「昨日は、ごめんなさい。
次のお休み、予定の前ですけど、
貴方が行きたいところ一緒に行きましょう」
ギターの練習したかったな
ボソッと言った君に、申し訳なくなった
昨晩届いた新米を炊こうと思って
まずは、顔を洗おうと洗面台に行った
水が出ない
家の全ての水道が止まっていた
朝ごはんを楽しもうとしていたのに
眠気が吹き飛んだ
こんな日に限って、外は台風並みの風が吹いて
警報が出そうなくらいの大雨だった
ねむねむワールドから復帰したばかりの君に
緊急事態を伝える
家の近くにコンビニもスーパーもなければ
銭湯なんて、以ての外だった
てんやわんやの頭をどうにか捻って
カーシェアで銭湯に行くことにする
君とドライブに行きたい、お風呂に行きたい
一昨日話したばかりなのに
こんな形で叶うとは思っていなかった
支度して、車を確保して急いで家に戻る
君を乗せて走っている間に、銭湯の営業を確かめてもらう
やっているらしくて一安心、とも言っていられない
髪を乾かすのだって
メイクするのだってそれなりに時間が掛かる
万一、君が仕事に遅れたら大惨事だ
「断水してるので遅れます!」
連絡させようかと何度も逡巡して結局やめた
頑張るのを諦めてはいけない
銭湯は、とても良い風呂だった
ゆっくり入れないことを悔やむ間もなく
急いで、でも、安全運転で駅まで向かう
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
何とか電車に間に合わせて送り出した
溜め息を吐く間はない
僕も午後の用事へと駆け出した
久々の相棒は、随分ご機嫌だった。
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