leave a scar
ああ、これでやっと終わったんだ
そう思った
これまで負ってきた何より深いこの傷を
治すにはそれなりの時間が必要だった
君の知らない時間の中で
この世界から消えたがって
この世界で、生きたがって
こんな馬鹿な思考を
何度繰り返してきただろう
僕がいない未来と君がいない明日を
天秤にかけて早々に諦めたんだ
どっちも耐えられないやって
抱きあって、お互いの温度を確かめながら
顔も見ずに「好き」だと言いあって
顔を見て、けれど目を伏せてそっと口づける
こんな僕でもいいですか、なんて
もう聴かなくていいと思った
そんなのは、目の前の君に失礼だから
一緒に朝ごはんを食べて
君を送り出して
洗濯は三回まわして
僕も出掛けて
お互いに頑張って
同じ場所に帰って眠る
生きることを貪(むさぼ)って
消えることを突き放して
ふたりで生きてる。
— leave a scar —
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