僕と君の、幸せな朝ごはん

このところ、僕らは一緒に起きている

セットしたアラームは

むにゃむにゃと起床の延長戦で

僕が2回押すスヌーズが実質的な目覚ましになる


ベッドの上だけスライドするように

お姫様抱っこをして、ベッドの淵に下ろして

それでも倒れ込もうとするのをどうにか支える


寝起きの開ききらない薄い目は

微笑んでいるようにも見えて

キスをくれてやりたくなるくらい愛しい

ゆっくり身体を朝に馴染ませていく

君の寝癖は毎日違うから、これはこれで面白い

櫛を渡して整えて、部屋を出た


お互いのルーティンをお互いに済ませて

キッチンに集まる

フライパンは僕が使うから

何か火を通すものがあれば一緒に焼く

サラダ類は君が盛り付けてくれるから

安心して調理できる


温かい紅茶を用意して、食卓にすべてが並ぶ

「いただきます」とふたりで手をあわせる


それからBGMをスマホで流す

決して君と会話のない時間が嫌なわけではない

眠り以外で、音がない空間が苦手なだけだ

それを何も言わずに、いつもそのままにしてくれる


「朝ごはんが美味しいです」

君が言うので、

「いつもと変わらないはずだけど」

首を傾げながら返す


今朝の食卓は、こうだった


僕 ご飯

  半熟目玉焼き

  キャベツの千切り(胡麻ドレ)

  ポテマカサラダ

  温かい紅茶

君 ご飯

  チーズ入りウィンナー

  キャベツの千切り(胡麻ドレ)

  ポテマカサラダ

  りんごジュース

  温かい紅茶


やっぱりいつも通りだ

それから、なぜだろうとふたりして考えた


「合作って、良いですね。

 一緒に作ったのは、嬉しいです」


一緒につくったポテマカサラダがある

お米はそういえば、君が炊いてくれたものだ


「あのお米、やっぱり美味しいです」


—“あのお米”は、大好きな鹿児島からの取り寄せ品だ

  いまは、もう売り切れてしまった—


ふたりが、お互いのために用意したもの

それがいままでとは違うことだった


世界ではありふれた食卓かもしれない


でもこれは、ふたりだけの特別な当たり前で

いままでどこにもなかった

「僕と君の幸せな朝ごはん」なんだと、しみじみ想った。


—僕と君の、幸せな朝ごはん—

A recollection with you

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